【追悼】元幕内・燁司 鈴木大司氏逝去 突き押しの名手が遺した相撲道
元幕内力士・燁司こと鈴木大司氏が51歳で逝去。突き押しスタイルで知られ、幕内5場所で活躍。引退後は年寄として後進育成に尽力した波乱の相撲人生を振り返る。

急逝の報と相撲界の反応
日本相撲協会は8月13日、元幕内力士・燁司(本名:鈴木大司)氏が8月11日早朝に51歳で急逝したことを発表した。関係者によると、近年は糖尿病治療に専念していたという。葬儀は近親者のみで密葬形式で執り行われ、後日追悼行事が検討されている。
疾風の突き押しスタイル
「平成の突き押し三羽烏」の異名を取った燁司は、1996年初土俵からわずか2年7か月で十両昇進を果たす俊足ぶりを発揮。180cm・135kgの恵まれた体格を生かした前掛かりの速攻は「入間川部屋の弾丸」と称された。
- 1999年夏場所:新入幕(東前頭16枚目)
- 最高位:東前頭11枚目(2000年初場所)
- 通算成績:258勝247敗23休(幕内34勝41敗)
年寄としての軌跡
2005年秋場所限りで現役引退後は、6つの年寄名跡を継承する異例の経歴を歩む。特に「竹縄」時代には稽古場の整備改革を推進し、若手力士の育成環境改善に尽力した。
関係者の追悼コメント
元横綱・白鵬は「常に稽古場で後輩の面倒を見てくれる優しい先輩だった」と回想。入門時の師匠である故・入間川親方(元大関・魁傑)の夫人は「部屋再建の苦労時代を共に支えてくれた功労者」と偲んだ。
相撲スタイルの遺産
燁司が磨き上げた「右四つ・左差し」からの押し相撲は、現在の押し主体力士の手本として教材化が進んでいる。2018年には後進指導の功績が認められ、協会から特別指導者表彰を受けた。