宇都宮ブレックスの3度目のBリーグ制覇を支えた35歳の守備職人・遠藤祐亮の波乱万丈なストーリー
宇都宮ブレックスの3度目のBリーグ制覇を支えた35歳の守備職人・遠藤祐亮の波乱万丈なストーリーを紹介。ベテラン選手のチームへの貢献とその信念に迫る。

遠藤祐亮の活躍
今季のBリーグもプレーオフが終わり、宇都宮ブレックスがチーム3度目となる王者に輝いた。田臥勇太や竹内公輔など、代表経験も豊富なベテランも所属する同チームだが、実は3度の決勝すべてで先発出場した選手は“たった一人”しかいない。その選手こそが、35歳の遠藤祐亮だ。
ベテランの決断
準々決勝のGAME1、最終の第4クォーター(Q)の終盤、遠藤は交代出場の準備をしていた。しかし、彼はジーコ・コロネルヘッドコーチ(HC)代行にこう進言した。
「このままアイツを使い続けたほうがいいんじゃないですか?」
この言葉には、若手選手の活躍を優先するという遠藤のチームへの深い思いが込められていた。
若手選手の活躍
24歳の高島紳司が立て続けに3Pを決め、相手の希望を打ちくだくようなパフォーマンスを見せた。この展開に、相手はたまらず、最後のタイムアウトを取った。そのタイムアウトが終わるタイミングで、本来であれば交代で出場するはずだった遠藤はベンチに座り、高島がプレーを続けることになった。
勝利への道
そして、その試合をブレックスはものにした。それは1年前のトラウマを払しょくする勝利だった。昨季はレギュラーシーズンでチーム史上最高の成績を残してCSに挑みながら、準々決勝のGAME1で不覚をとったのが引き金となり、そこで敗退したからだ。
遠藤の信念
遠藤はこう振り返る。
「複雑な感情はありました。ただ、そこから先の戦いを考えると、良いプレーを続けるためにはタイムシェアが必要だし、CSのような舞台では試合ごとに大活躍する選手が出てくるようでなければ難しいので。あのときはそれが紳司で、難しい状況を打開してくれた。そういう選手を使い続ける方がいいと考えていました」
ブレックスらしさ
遠藤が今回の優勝について心の底から喜べたのは、「ブレックスらしさ」を体現して、タイトルをつかんだからだ。では、「ブレックスらしさ」とはどういうものなのか。それは、チーム全体が一丸となり、ベテランも若手もそれぞれの役割を果たし、勝利を目指す姿勢である。