桃田賢斗の新たな挑戦:コーチ兼任で目指す理想のバドミントン
桃田賢斗が日本代表を引退し、コーチ兼任として新たな挑戦を始めた。彼が目指す理想のバドミントンとは何か?

桃田賢斗、新たな役割での挑戦
桃田賢斗は2024年、日本代表からの引退を発表し、今シーズンからは所属するNTT東日本でコーチ兼任として活動している。彼はこれまでの選手生活とは異なる視点でバドミントンと向き合っている。
穏やかな気持ちでのバドミントン
「普段の生活や練習はこれまでと変わらないです。ただ代表をやっていると1年の3分の1くらいを海外で生活することになるので、それが大きく変わったところ。落ち着いた日々を送っていられる感じはします。コーチ兼任はまだ始まったばかりでよくわからないところもあるんですが、選手時代よりバドミントンを俯瞰して見るようになった気がします。選手だけをやっているとどうしても勝ち負けが気になって1プレー、1プレーに力が入ってしまうんですが、いまはもう少しリラックスして、広い視野を持てるようになった。穏やかな気持ちでバドミントンと向き合えています」
“勝ちたい”よりも“上手くなりたい”
まだ30歳、とはいえチーム内ではベテランだ。それでも自分に甘くなることはない。毎朝7時半に起きて30分ランニング。9時から12時までの午前練習を終えると、いったん休んで14時から17時半まで午後練習。チーム練習後には筋トレなどの自主練に時間を割く。
「バドミントンは個人だけでなく団体戦もあるので、監督が僕を使いたいとなったら、いつでも期待に応えられるような準備はしています。でも自分がいちばんで、絶対に誰にも負けないみたいな気持ちはもうないかもしれない。若手選手を育てるためには自分がひかなければならないこともわかっていますし、若手選手のためのいい練習相手にならなきゃならないという思いもある。いまは、“勝ちたい”というよりも“上手くなりたい”。もっと上手くなって、理想のバドミントンを追求したいという感じで練習を重ねています」
理想のバドミントンとは
国際大会で30回以上優勝し、2018年から2021年の121週にわたり世界ランキング1位に輝いた桃田が思う理想のバドミントンとは、どんなものなのだろうか?
「観ていて楽しいバドミントン。バドミントンの試合を観たことがないという人でもワクワクするような楽しくて、そして美しいバドミントンが理想です。まだゴールは見えないし、もしかしたらないのかもしれない。でも勝ち負けとは別の、美しいバドミントンができるようになりたいし、それを子供たちにも伝えていきたい。そう思うと練習も絶対に手を抜けない。万全の状態の桃田賢斗を見せて、憧れてほしいじゃないですか。だから最近は練習に行くのも楽しくなったんですよ。以前は体育館に向かうときは足が重かったんですけど、最近は楽しみに思いながら行けるようになりました」