リーチマイケルの稀有なキャプテンシー:ラグビーリーグワン連覇への道
リーチマイケルの稀有なキャプテンシーが東芝ブレイブルーパス東京のラグビーリーグワン連覇を支えた。ノンメンバーの思いとチームの強さの秘密を探る。

2025年6月1日、NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25の決勝戦で、東芝ブレイブルーパス東京がクボタスピアーズ船橋・東京ベイを破り、連覇を達成しました。試合後の優勝会見で、キャプテンのリーチマイケル(36)は「ここまで支えてくれたスタッフ、ノンメンバーに感謝しかない」とコメントしました。
ラグビーの先発メンバーは15人、控えメンバーは8人、そしてそれ以外のベンチに入れない選手は“ノンメンバー”と呼ばれます。彼らの主な仕事は、分析した対戦相手の戦い方を覚えること、そして先発メンバーたちの練習相手になることです。
去年まで東芝に在籍し、会場で連覇達成の瞬間を見届けた元選手の金寛泰(きむ がんて)さん(33)も、試合に出場できないノンメンバーとしての時間が長かった一人です。金さんは東芝の強さの秘密を「リーチさんの存在感です。本当に稀有なキャプテンで、これまでのラグビー人生で会った事の無いような人です」と語りました。
金さんは2015年に東芝ブレイブルーパス東京に入団し、主に「プロップ」というスクラムを組む時の最前列でプレーしてきました。年代別の代表に選ばれたこともありましたが、2019年に現在も指揮を執るブラック・アダーヘッドコーチ(53)が就任してチームの強化が進むと出番は減り、ベンチ入りもままならない状況になっていきました。
「ノンメンバーは週末に行われる試合に向け、月曜に分析された情報を頭に叩き込み、火曜日の練習から対戦相手になり切る。でも本当は自分も試合に出たいじゃないですか。対戦相手になりきりながら自分も認められたい、アピールもしたい、腐りそうになること、葛藤は少なからずありました」と当時の思いを明かします。
最もつらかったのは去年、チームがリーグワン初優勝にひた走っていた最終盤の時期でした。「準決勝の前に戦力外を通告されました。次のシーズンこそはと思っていたのでショックで、かなりキツかったですね」と金さんは振り返ります。
リーチマイケルのキャプテンシーは、チーム全体を支えるだけでなく、ノンメンバーのモチベーションを維持する上でも重要な役割を果たしました。彼のリーダーシップが、東芝ブレイブルーパス東京の連覇を可能にしたのです。