身長163cmの山本麻衣がWNBAを目指す理由と挑戦の軌跡
身長163cmの山本麻衣がWNBAを目指す理由と、その挑戦の軌跡を詳しく紹介。彼女の努力と信念がどのように世界の舞台に挑むかを探る。

山本麻衣のWNBA挑戦
この春、WNBAダラス・ウィングスのトレーニングキャンプに参加したトヨタ自動車アンテロープスの山本麻衣(25歳)。惜しくも契約を勝ち取ることはできなかったが、引き続きアメリカでのプレーを模索していくようだ。163cmの司令塔が浴びた洗礼とは?
キャンプでのエピソード
5月、WNBAのダラス・ウィングスのトレーニングキャンプに参加していた山本麻衣に、チームメイトのマイーシャ・ハインズ・アレンが「マイ、私を持ち上げてみて」と無茶ぶりした。WNBAでパワーフォワードのハインズ・アレンは、身長185cm、体重90kgと大柄な選手で、トレーニングキャンプに参加していた中で最も小柄な163cmの山本と並ぶと、まるで大人と子供だった。それでも山本は動じることなく、笑顔のまま彼女を両手で抱えて持ち上げて見せる。
ハインズ・アレンが驚いたような表情を見せ、「強いね。ウェイトルームで頑張っているのね」と言い、2人で笑いあった。
WNBAでの挑戦
山本がこの春に飛び込んだWNBAには、ハインズ・アレンのようなサイズの選手が珍しくない。サイズやパワーだけでなく、スキルも高く、そして、闘争心も強い選手たちが競う世界に、山本は持ち前のスピードとシュート力を武器に挑んだ。
日本人選手のWNBA挑戦
WNBAは山本にとって、高校のときから目標としてきた世界だった。過去に日本人選手でWNBAのシーズンを戦ったのは萩原美樹子(1997、1998)、大神雄子(2008)、渡嘉敷来夢(2015、2016、2017)、町田瑠唯(2022)の4人だけ。山本のチームメイトだった馬瓜ステファニーも2023年と2024年にニューヨーク・リバティのトレーニングキャンプに参加したが、開幕ロスターには残れなかった。
それだけ難しいチャレンジだが、山本は「決して手が届かない世界ではない」と言う。
山本麻衣の経歴
山本は25歳のガード選手。高校は強豪・桜花高校に所属し、2年のときにインターハイ、国体、ウインターカップのすべてで全国優勝を果たして3冠を達成した。2018年1月、18歳でWリーグのトヨタ自動車アンテロープスに加入すると、7年余の間にリーグのトップガードの一人へと成長。2021年の東京五輪では3人制の日本代表として戦い、去年夏のパリ五輪では5人制の日本代表のスターティング・ポイントガードを務めた。
パリ五輪ではアメリカ代表に完敗を喫したが、個人的には今回の挑戦に一歩踏み出すきっかけとなる手応えをつかんだ。
山本の決意
「はっきりWNBAに挑戦したいって思ったのは、たぶん高校ぐらいだったと思います。昔から海外挑戦には興味があったんです。それで、(高校のキャリアを終えて)トヨタに上がる時も、トヨタかアメリカの大学かと迷っていた時期がありました」
そのときはタイミングが合わずに断念したのだが、それでも、アンテロープスに入った後もWNBAのことは常に頭の片隅にあった。