加藤和宏騎手の不屈の精神:シリウスシンボリが日本ダービーを制覇
加藤和宏騎手がシリウスシンボリを率いて日本ダービーを制覇した感動のストーリー。鞍上騒動を乗り越え、師弟の絆が花開いた瞬間を描く。

鞍上騒動を乗り越えて
第92回日本ダービー・G1(6月1日、東京競馬場・芝2400メートル)で、加藤和宏騎手がシリウスシンボリを率いて見事に優勝を果たしました。この勝利は、加藤騎手にとって特別な意味を持つものでした。
シリウスシンボリの気性
シリウスシンボリは激しい気性で知られ、スタッフを悩ませていました。加藤騎手は、この馬の調教に付きっきりで取り組み、その努力が実を結びました。しかし、2歳時の芙蓉特別で1位入線後に失格となるなど、不完全燃焼が続いていました。
乗り替わり騒動
シンボリ軍団の総帥・和田共弘氏は、前年にシンボリルドルフを無敗の3冠馬に導いた岡部幸雄騎手への乗り替わりを要望。これにより、加藤騎手と和田氏の間に緊張が生まれました。3月20日に畠山重則厩舎へ転厩したが、騒動はさらに大きくなり、厩務員組合や調教師会まで巻き込みました。しかし、3月28日には二本柳厩舎に戻り和解が成立しました。
日本ダービーでの勝利
シリウスシンボリは脚部不安で皐月賞を回避しましたが、同レースを圧勝したミホシンザンがレース直後に骨折判明。ダービーは戦国の様相を呈していました。加藤騎手は、想像を絶するプレッシャーのなか、1番人気に応えました。
「心を白紙の状態にして臨む。これまで積み重ねてきた経験を生かすことだけを考えていました。(二本柳)先生の奥さまに成田山のお守りをもらい、和宏頑張れと言われた時には、なんとしても勝たなければと思いました」と加藤騎手はレース後に語りました。
2着スダホークに3馬身差の完勝。師弟の絆が競馬の祭典で花開いた瞬間でした。