収容600人の会場で公演を空間オーディオ収録・映像化し、世界へ配信する。
米Appleは英ロンドン・バタシー・パワーステーションの一角に、自社ブランドを冠した常設ライブ会場「Apple Music Hall」を開設した。客席数は600。仮設のイベントスペースとは異なり、公演の音を空間オーディオで収録する設備と映像制作環境が常設で組み込まれ、舞台の演奏はそのまま世界へ配信される。
会場の開設とあわせて、新たに整備されたスタジオからApple Music Radioが放送するロンドン発の全番組を生放送に切り替える体制へ移行した。ライブ公演、ラジオ制作、音声・映像の収録、配信という機能が単一拠点に束ねられる形であり、同社の音楽メディア制作の拠点がロンドンに集中する構図となった。
音楽サービスを展開するテック大手が直営のコンサート会場を持つ例は限られ、収録と映像制作を前提に設計された600人規模の専用会場は異例の構成といえる。空間オーディオ収録に対応させた設計は、ステージで生まれた音響を同社が差別化の軸とする高音質フォーマットのコンテンツへ変換する生産設備としての役割を担いそうだ。
一度きりの公演で終わらせず、収録と配信を通じてライブ体験を資産化し、世界中のリスナーへ届けようとする構図がうかがえる。公演ごとの収録・配信運用がどこまで定着するかは、会場運営とストリーミングの連携を占う先進事例として注目に値する。
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