鈴木誠也の大ブレイク

2016年、広島カープの鈴木誠也選手は、セ・パ交流戦で大ブレイクを果たしました。春季キャンプ中に右足を痛めたものの、4月26日のヤクルト戦で満塁弾を含む2本塁打を放ち、その存在を強くアピールしました。その後、5月29日までの約1ヵ月で打率.286、6本塁打を記録し、背番号51にちなんだ“赤イチロー”の呼称も広まりました。

伝説の逆転満塁弾

交流戦の最終カードとなった6月17日からのオリックス3連戦で、鈴木は伝説の扉をこじ開けます。17日の初戦では、延長12回無死二塁の場面で比嘉幹貴から左翼席上段にサヨナラ2ランを放ち、チームの4連勝の立役者に。翌18日の2戦目では、1対3と敗色濃厚の9回裏1死一、三塁の場面で平野佳寿から左越えに起死回生の逆転サヨナラ3ランを放ちました。

「神ってる」の誕生

緒方孝市監督はこの活躍を「誠也がまたデカい仕事をしてくれたね。いや、本当にね。今どきの言葉で言うなら、神ってるよな」と絶賛しました。この「神ってる」という言葉は、緒方監督の当時高校生の次女と小学生の長男が将棋やゲームの対戦時に使っていた賛辞でしたが、鈴木の活躍により広く知られるようになりました。

連続決勝アーチ

さらに、19日の3戦目でも、4対4の8回無死の場面で山崎福也から左翼上段のコンコース席に突き刺さる3戦連続の決勝アーチを放ち、お立ち台で3日連続の決まり文句「最高で〜す！」を披露しました。球団が18日の逆転サヨナラ本塁打を記念して発売した618枚のTシャツもわずか1分で完売する人気ぶりでした。

チームの快進撃

21歳の鈴木に引っ張られるように、チームはリーグ戦再開後も連勝を「11」まで伸ばし、9月10日に早々と25年ぶりの優勝を実現しました。鈴木の活躍やチームの快進撃の代名詞になった「神ってる」も、同年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞になりました。